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海洋散骨とは

散骨とは、一般的には亡くなられた方のご遺体を火葬した後、遺骨を粉末状にして海、空、山などに撒き、自然に還す葬送方法のことを言います。

他の動植物がそうであるように人間も自然界の一部であり、死後自然に還ることは決して不自然な発想ではありません。自然であるからこそ、アジア、アメリカ、ヨーロッパなどの諸外国でも広く行われており、歴史を遡ると太古の昔から行われてきているのです。

日本の場合、万葉集の中で、「秋津野を人の懸くれば朝蒔きし君が思ほえて歎きはやまず玉梓の妹は珠かもあしひきの清き山辺に蒔けば散りぬる」と、夫が妻の遺灰を山中に撒いた時の、まさに散骨の歌が詠まれています。

続日本後紀でも、淳和天皇が「宜シク骨ヲ砕キテ粉ト為シ、コレヲ山中に散ズベシ」と、皇太子に遺言していたことが記されています。承和7年(西暦840年)ということですから、今から1200年近く前の記録ということになります。


ご遺体・ご遺骨の
様々な葬送法

現在の日本では、ほぼ火葬後にお墓へ埋葬する方法がほとんどですが、時代の流れとともに散骨を選ぶ方が徐々に増えてきました。世界に目を向けると様々な方法がある中で、散骨は決して不自然な行為ではありません。故人様、ご遺族様のご意向があれば、選択肢の一つとしてお考えください。

土葬

土葬とはご遺体をそのまま土に埋めることです。古いところでは、歴史の授業で習ったネアンデルテール人によるものがあるそうですから、数万年前から行われていた方法ということになります。火葬に対して否定的なキリスト教、イスラム教、儒教などでは、土葬が行われることが多いようです。

火葬

ご遺体を焼却する日本で最も一般的な方法です。諸説ある中、仏教と共に5世紀に伝わったという説が有力で、お釈迦様が火葬されたことにちなんでいます。火葬と同じ意味で使われる「荼毘にふす」はインドのバーリ語に由来している仏教用語だそうです。仏教、ヒンドゥー教では認められていますが、儒教、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教は火葬に否定的な立場をとっています。

水葬

ご遺体をそのまま海や川に沈める方法です。有名なのはヒンドゥー教による水葬で、インドのガンジス川流域で執り行われるものです。また、洋上での死者でご遺体の搬送が難しい場合にも行われています。日本でも航行中の船内で死亡した場合に船長の権限で水葬を行える場合もありますが(船員法15条)、そうでない場合は刑法190条の死体損壊罪に当たります。

鳥葬

主にチベット仏教において行われることが多い方法。もし日本で行うと刑法190条の死体損壊罪に抵触する恐れがありますが、チベットでは現在も行われています。葬儀を終えた後、魂が解放された遺体は肉の抜け殻に過ぎないという考え方から、郊外の荒れ地に設置された鳥葬台に運び、鳥類に食べさせるのです。宗教上は遺体を「天に届ける」ことを目的としているので、中国語では天葬、英語ではSky Burialと呼ばれています。

風葬

風葬とは、ご遺体を風にさらして風化を待つ方法で、世界各地で行われています。日本でも昔は沖縄や奄美地方で行われていましたが、現在は行われていません。比較的よく知られているのはインドネシアのスラウェシ島高地部に住むトラジャ族やボルネオ島のイバン族などの風葬あたりですが・・・。ご存じない方の方が多いでしょうか?

洗骨

洗骨とは、一度土葬や風葬を行った後に、その骨を海水や酒などで洗い、再度埋葬する方法です。一般的にはあまり馴染みがないと思われていますが、中国をはじめ、北米先住民、アフリカ、インド洋諸島、東南アジア、オセアニアなど、世界各地に存在しています。洗骨を行う理由は、一度埋葬しただけでは死霊のままで存在し続けてしまい、子孫に病や死をもたらしてしまうためだそうで、洗骨することによって子孫に幸福をもたらす祖霊になるという考えからのようです。

冷凍葬

冷凍葬とは、最も歴史の浅い方法です。ご遺体を死後1週間以内にマイナス18度で凍らせ、とうもろこし等のでんぷん質の原料で作られた棺に納めてからマイナス196度の液体窒素に1時間ほど浸します。その後、棺ごと振動させるとご遺体が粉末状になりますので、そこから歯などについていた金属類を取り除き、乾燥機にかけて水分を飛ばせば完全な粉末となります。これは食品にも使われるフリーズドライ技術の応用編です。粉末化したご遺体は、別のでんぷん質の棺やツボに入れて、地中50センチほどの深さに埋めれば、半年か1年ほどで棺・ツボごと堆肥化するそうです。この方法はエコ先進国のスウェーデンの会社が開発したもので、火葬の際のエネルギーコストを大幅に削減できる上、粉末状のご遺体には匂いがなく、自然にも還りやすいということで、エコ葬儀の方式として注目を浴びているとかいないとか・・・。


火葬後の遺骨の葬送法

宇宙葬

故人の遺骨などをカプセル等に納めて、宇宙空間に散骨する方法です。米国のセレスティス社のみ実績があるようですが、費用が高額な上にスペースデブリ(宇宙ゴミ問題)の観点から賛否があります。

樹木葬

墓碑として、「墓石」ではなく「樹木」を指定した葬儀の方法です。墓地、埋葬等に関する法律による認可を得た墓地や霊園でのみ行うことができます。樹木の種類は低木が一般的で、ハナミズキやサルスベリ等を墓碑に用いるケースが多いようです。ペットなどの動物葬でもよく行われますよね。

自由葬の思想について

日本では約9割以上が仏教式の葬儀だと言われています。
そのほかにも、キリスト教式などの各宗教宗派がありますが、 自由葬とは、この宗教宗派にとらわれず行う事を総称して使われております。仏教式で行われる場合は、四十九日や三回忌等の供養に関し導きがありますが、 自由葬とは、特別に供養の内容や日取り、供養方法等、一切決まりがありません。さらに、戒名や法名等も必要とされておりません。各人が故人を思い、 故人のために葬儀、供養、法要することです。

海洋散骨も自由葬の一つと言えます。
お墓を作らずに散骨を選んだ場合、お墓参りに代わる追善供養に関しても決まりごとはありません。 グランブルーセレモニーでは、再びご遺族様を散骨海域へご案内するメモリアル再訪クルーズも承っております。または、海は世界中につながっていることから、 近隣の海岸やビーチなどで故人を偲んで手を合わせることでもお墓参りの代わりになります。何より、各人が故人を思い偲ぶ事が大切です。ご仏壇を持たれる方、そうで無い方、ご遺骨をペンダントやネックレスにしてお手元に残す方もいらっしゃいます。

近年では海洋散骨を行われる方が増えてきています。故人の希望やご遺族様の事情など、理由は様々です。 一方で墓地不足や無縁仏が社会問題となっています。

このような背景から、自由葬を選択される方が増えていますが、故人を思い偲ぶ事は何も変わるところはありません。 ただ手法や作法の違いだけですので、今後はさらに自由葬を求める方も多くなるものと思われます。
NPO法人として自然葬(散骨)の会が設立され、生前予約されている会員様が2万人を超しているというデータもあります。


散骨した著名人

さて、これだけ色々と記述をしましたが、散骨は未だ一般に浸透した方法とは言えません。一方で数多くの著名人が散骨を選んでいます。その一部をご紹介します。(以下全て敬称略)

石原裕次郎

昭和を代表する大スターも散骨をしていたようです。湘南の海が好きだった裕次郎のために兄の慎太郎が願い出たところ、当初は許可が下りなかったそうです。1991年になって法務省から「節度を持って行われる限り問題無い」という見解を得て、密かに執り行われたようです。近年日本の海洋散骨を切り開いたと言えます。

横山やすし

こちらも漫才界の大スターです。こちらは一風変わった場所、BOATRACE宮島でお馴染みの宮島競艇場にて「散骨の儀」が執り行われたのです。ボート好きだった故人の強い意志により実現したそうで、愛艇を置いていた当地が選ばれたようです。「らしい」散骨だと思います。

立川談志

天才落語家も海での散骨を希望したそうです。どこまで本当かは不明ですが、親交の深い弟子だった高田文夫がラジオ番組の中で「散骨した直後に魚が集まってきて、撒かれた骨を食べてしまった」とコメントしています。自然に還るという意味では、魚に食べられることは本人にとっても望んだことだったのではないでしょうか。

勝新太郎

数多くの伝説が語り継がれる大物俳優の勝新太郎もハワイのワイキキ沖に散骨されています。ハワイは散骨に関して規制がありますから、きっと専門業者さんに依頼して、執り行われたことと思います。

アルベルト・アインシュタイン

相対性理論で有名なアインシュタインです。そんな大天才も亡くなる直前に散骨を強く希望し、ご遺族によってデラウィア沖にご遺骨が撒かれたようです。

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